耳、鼻、のど、そのほか体の病気のお話。院長の不定期更新コラム。
アレルギー性鼻炎は、アレルギーの原因となる物質(抗原)が、何度も体内に入ってくるうちに、その抗原に対してだけ反応するIgE抗体というものが作られることによって発症します。 抗原には、HD(ハウスダスト)、スギ花粉など色々あります。花粉症とよばれているのは、スギ花粉でおこるアレルギー性鼻炎ですが、北海道ではシラカバ花粉によっておこるものが多いです。
まず、抗原を、なるべく吸い込まないということが重要です。 病院等で行う治療としては、 (1)薬の治療(2)減感作療法(特異的免疫療法)(3)手術療法、の三つがあります。
耳垢は、通常は自然に耳の穴の外側へ自然に吐き出されるような仕組みになっていますので、家庭で無理に取るのではなく、自然に出てきたものをお掃除する程度で充分です。 耳垢をきれいに取り除くのはけっこう難しくて、耳鼻科医でも苦労することがあります。家庭では耳かきでかえって耳垢を奥のほうに押し込んでしまったり、外耳道を傷つけて外耳道炎や耳せつ(耳のおでき)の原因となったり、鼓膜を傷つけて鼓膜穿孔を作ってしまったりすることがあります。お風呂やプールの後に、汚れた耳垢があって耳をいじると、特に外耳道炎になりやすいので、注意が必要です。 耳掃除をどうしても したい方は2週間に1度、清潔な綿棒で耳の入り口に出てきたものをお掃除する程度で充分ですと説明してます。中には耳の穴が狭くなっていたり、 大きく曲がっていたりと、耳垢の取りにくい耳の形をした方もいますし、茶色の軟らかい耳垢が多い人は、遺伝的な体質でそうなっている場合が多いです。 耳鼻咽喉科で除去する場合は、外耳道や鼓膜を傷つけたりしないように、また出来るだけ痛みの無いように細心の注意を払います。鼓膜内視鏡や顕微鏡で見ながら、耳垢鉗子や耳専用の器具でつまんだり、細い吸引管で吸い取ったり、硬い耳垢のときは軟らかくする耳垢水という薬液を耳の中に一日に数回入れ(点耳)、ふやかしてから洗浄・吸引する方法(耳洗)で耳垢を除去します。固着しているような耳垢栓塞ですと何日間にわたってゆっくりと時間をかけて除去する場合もあります。 もちろん、耳垢だけを取りに来院される方も耳鼻科ではめずらしくありません。 大歓迎ですので、どうぞお越し下さい。
季節の変わり目であれば、のどの痛みや、鼻づまりで受診される妊婦さんや授乳中のお母さんに接することがあります。おそらく、なんとか自然に治ることを期待していたものの、耐えきれず受診されたのでしょう。また、処方されても薬がお子さんに与える影響が不安で、それらが受診をためらう原因になっているのかもしれません。
受けた方がよいでしょう。その検査は「新生児聴覚スクリーニング」といいますが、世界中の産科施設で広くおこなわれており、国によっては法律で受けることが義務づけられているところもあります。 日本では法制化されていませんが、検査費用の補助をしている自治体もあります。現在は全国の約70%の産科施設で、生後すぐに母子が退院する前におこなわれています。
以前から聞こえが悪いから調べても「年のせい」と言われるから受診してするのも嫌、あるいは仕事が忙しくて1か月前からどうも聞こえの調子が悪いけど受診できなかった、という方がいらっしゃいます。 院長も「老人性」とか「加齢性」という言葉でひとくくりにするのは抵抗があるのですが、「病院での聞こえの検査」の意味って知っているようで知りませんよね。
「ぐりぐりがある」という症状で病院を受診される患者さんをしばしば経験します。 多くはリンパ節が腫れるリンパ節腫脹(しゅちょう)が認められます。リンパ節とは、体中を張り巡らしているリンパ管の途中にあるリンパ組織の一つで、リンパ液の中の異物や病原体をろ過したり、生体を守るための免疫反応に重要な役割を担っています。
3歳以下の乳幼児のゼーゼーの原因として、最近、鼻かぜウイルス(ライノウイルス)との関連性が一般的に知られるようになってきました。 ゼーゼーの原因のウイルスとしては、ライノウイルスが48%、RSウイルスが21%、パラインフルエンザウイルスが12%、メタニューモウイルスが7%と報告されています。(Jackson DJ 2008) そのうちライノウイルスは、鼻水を主症状とする感冒の原因ウイルスで、現在まで101種類の血清型が報告されています。潜伏期間は2~3日間で、2~7日間ウイルスの排出があり感染性が持続します。 一般的にウイルスは、咳(せき)やくしゃみによる飛まつ感染と、手を介して鼻を触ったり目をこすったりして感染する接触感染があります。
耳鳴りは自分だけに聞こえる意味のない音のことです。 雑誌や街の広告でもよくそのことばを目にしますし、ご家族や知人の方で悩んでいる方も多いでしょう。耳鳴りがあると集中力低下や不眠、不安感のもととなり、それでいながら周囲に理解されにくいため、あせりや、孤立感を感じる方もいらっしゃるようです。
味覚障害で悩まれている人は多く、ある年の学会調査によると、国内で年間24万人が味覚障害で耳鼻咽喉科を受診しています。 とりわけ家事で料理を担当することが多い女性にとって、味覚障害は非常に深刻な問題です。というのも、味覚は食べ物が安全かどうかを見極めるための極めて重要な感覚だからです。 味覚には、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5種類があります。酸味は腐敗したものの味であり、苦味を持つ物質も危険なものです。よって甘味に比べて酸味や苦味に対しては敏感に反応し、かつ簡単には失われないようにできています。
例えば、風邪のような症状でかかりつけ医の先生を受診する時、自分の病状を説明するのに苦労する人は少ないと思います。当院でも、予診といって診察の前に患者さんから大まかな病状を伺っていますが、すらすらと答えられる人がほとんどでしょう。 ところが、お子さんがなんとなく耳の痛みを訴えるものの、ご両親がお仕事で忙しく、おじいちゃんおばあちゃんがお孫さんを連れてこられるケースや、いろいろな病院で多くの薬をもらっても治らない長引くのどの違和感などで受診する場合には、風邪の時のようにはいきません。患者さんが「自分は重大な病気ではないか?」と、大変心配して受診することもあって、受付の担当や看護師が質問しても、しっかりと答えられない人もいらっしゃいます。